web3とweb2の4つの比較

前回の記事でweb3を理解するためのクリプトのポテンシャルを見てきました。

The potential of crypto web3を知るためのブロックチェーンのポテンシャルは?

今回は、web3を理解するためにweb2サービスと比較して情報の所有者、サービスの集客方法、サービスの登録方法、サービスの手数料率についてみていきたいと思います。

Web3.0を知るためのWeb2.0との比較
web2web3
①所有者企業ユーザー
②集客マーケティング金銭メリット+マーケティング
③登録プラットフォームログインウォレット
④手数料率10%~~3%
web2とweb3比較

所有者(オーナーシップ)

web2web3
①所有者企業ユーザー
web2とweb3比較

web2で利用しているサービス(Facebook, Twitter, LINEなど)に投稿した内容は自分の”もの”という認識がありますが、実際の所有者は企業=法人にあります。

ユーザーはサービスを利用させてもらっているだけで、いつでも企業がユーザーのアカウントを停止や削除することが可能です。

問題1:元アメリカトランプ大統領のツイッターアカウント凍結


トランプ氏アカウント凍結 「言論の自由」の観点から許されるのか | 毎日新聞
元アメリカトランプ大統領のツイッターアカウントがTwitter社により凍結

実際、Twitter社は45第アメリカ元大統領のトランプのアカウントを凍結しました。Twitterのアカウントは自分の”もの”ではなく、Twitter社の所有物だったことが再認識されます。ユーザーはただプラットフォームの一部を借りていただけなのです。

問題2:Facebookを活用した選挙戦略


また、2016年の米国大統領選挙でSNSの闇が明らかになりました。

データ会社ケンブリッジ・アナリティカがFacebook上で顧客情報をアンケートで収集し、アンケート結果から顧客をグルーピングし、グループ毎に一方の候補者に票が入るように広告で印象操作を行ったことが判明したからです。

Facebook内のデータがあれば人を操作できることが判明しました。

このとき内部告発をした一人”カイザー”にEUの国会議員が「国民のデータを守るために国会議員は何をすべきか」と聞きます。

カイザーは「人が自分のデータを自分で所有することです」と回答するのです。

このときの教訓がweb2企業が保有するデータを個人の元に戻す必要があると世界で認識されるきっかけとなったできごとだったと思います。Netflixにドキュメンタリーがあるのでリンクを貼っておきます。

データを自分で所有する


一方、web3は所有権がユーザーの”もの”になります。

現在の所有者がわかり、

“誰”から所有権が移ったのか、また”いくら”で”いつ”移ったのかが誰でも見ることができます。

つまり、企業が商品を買ったり、売ったりした場合も同様に、商品の購入価格から売却価格まで、そしてお金の動きがすべてオープンになるということです。

注意

所有者の個人情報(名前、メールアドレスなど)の詳細までは追うことはできません。

分かる情報は下記です。

  • いつ:購入日時
  • だれが:
    • 匿名
    • ウォレットアドレス
  • なにを:購入した商品
  • どのように:サービス名
  • いくらで:購入金額

集客

web2web3
②集客マーケティング金銭メリット+マーケティング
Web2とWeb3比較

web2はユーザーを獲得するためにオフライン/オンラインチャネルで認知を広げ獲得までファネルの最適化をしていきます。

マーケティング施策の全体像
SAIRU:マーケティング施策

web3では自社サービス独自の通貨を上場前から発行することができます。

発行した通貨は

  • 価格が上がることで他のユーザーを集めるリファラル要因になる
  • コミュニティーの貢献度に応じて付与する
  • サービス内で行動を促すインセンティブ設計ができる

など応用ができます。

このことからユーザー獲得施策に金銭メリットが加わります。

実際に、Polkadot上のパラチェーンを繋ぐAsterのユーザー獲得ではAirdropにリファラルの仕組みが上手く組み込まれています。

ArthSwap’s & Astar Network

一方で金銭目的でプロジェクトに興味を持ったユーザーの期待を維持するために、通貨の価格を維持する必要があります。そのために、

  • プロダクトの継続的な改善
    • 世界レベルで技術者の増員と拡大
  • コミュニティー維持
    • 多言語向けのコミュニティーマネジャーの価値拡大

が必要になる点で競合が乱立した際のプロジェクト難易度が高くなっていく印象を受けます。

登録

web2web3
③登録プラットフォームログインウォレット
web2とweb3比較

web2はフリーミアムでユーザー数を増やし、ユーザーの情報でビジネスを行う企業が多くありました。

Google, Facebook, Twitterなどの企業は、フリーミアムでユーザー数を数億人規模に増やし、ユーザーへの広告配信料を企業からもらうビジネスモデルで会社を大きくしています。

ユーザーはサービスを利用するために、メールアドレスとパスワードを用いて会員登録を初期に行うことが一般的な利用開始の流れでした。

Facebookのアカウント作成画面

web3では各ユーザーはウォレットを保持しているので、ウォレット経由でサービスに登録します。

サービスに登録するとき、メールアドレスやパスワードの登録は求められません。

ウォレットと連携するサービス側は、下記を満たしていないと類似の競合にスイッチされてしまう。

  • サービスが利用しやすい
  • コンテンツが多く登録されている
  • ユーザーがにぎわっている
  • 手数料率が低い

なぜなら、コンテンツの所有は事業社側ではなくユーザー側にあるからです。

手数料

web2web3
④手数料10%~~3%
web2とweb3比較

web2ではマーケットプレイスサービスを利用する際、ユーザーが出品した商品が売れた際の手数料は基本的に10%~でShutterstockは60 – 85%の手数料を運営に払う必要がある。スタッフを雇い、ユーザー獲得のための広告費用などを捻出すると運営するために必要な手数料率はビジネス領域毎に異なる。

web3の手数料率はweb2の1/10になると言われている。

手数料での売上を作る代わりに、サービスの独自通貨で売上を上げることができる。

また、ユーザーが商品を所有しているので、手数料率が高いサービスよりも安いサービスに乗り移ることが容易だからです。

この手数料率を下げる流れをweb2時代に行っていたのが、AmazonのJeff Bezosです。

Jeff Bezosは”Your margin is my opportunity.”「あなたの手数料は私のチャンスだ = あたなが商品に手数料を上乗せして売っているなら、私は手数料分安くして売ればいい」ということで、Amazonに掲載する商品は他のオンラインショップで掲載している商品よりも安くするように言い伝えられてきた。(2017年に日本では独占禁止法として最安値縛りを禁止されている)

一方web3では”Your take rate is my opportunity.”と言われいる。

Web2のマーケットプレイスサービスは手数料率が下がるweb3サービスへ移行されていくのだろうか。

しかし、マーケットプレイスは手数料率が安いサービスにユーザーが移行するというよりも、商品の掲載しやすさ、商品の売りやすさなどオフラインでの利便性も加味されるので移行には10年単位での時間が必要になるでしょう。

まとめ

Web3.0を知るためのWeb2.0との比較
web2web3
①所有者企業ユーザー
②集客マーケティング金銭メリット+マーケティング
③登録プラットフォームログインウォレット
④手数料率10%~~3%
web2とweb3比較

web2とweb3の所有者から手数料率の比較を見てみました。

web3のメリットを理解するとともに、プラットフォーム側としてユーザーファーストの設計をしないと競合に代替されることが想像できます。

今後web2企業がStep1をトライし始めるが、Step2で現れる匿名の個人の集合体にサービスをひっくり返される世界が10年以上の時間をかけて起こるのではないかと想像しています。

  • Step1
    • 主体あり x アルゴリズム公開 x ブロックチェーン上で稼働するqeb2代替サービス
    • メリット:手数料が既存より下げる x ユーザーインセンティブをトークンで付与
    • 結果:既存サービスを超えるデータを集めるのに時間がかかる
  • Step2
    • 主体なし x アルゴリズム公開 x ブロックチェーン上で稼働するweb2代替サービス
    • メリット:手数料が劇的に下がる x ユーザーインセンティブ付与
    • 結果:時間をかけて既存サービスのデータ量を超える

    この記事を書いてから1年後の2023年2月時点ではグリーの田中さんよりジェネレーティブAIこそweb3だという意見があります。