書籍「事業を創る人」の大研究は、新規事業担当者へのアンケート結果から成功要因がわかる良書でした。参考になる項目を一部ご紹介します。
大企業で新規事業を成功させたい責任者・メンバーや経営層の方向けの記事です。
- 事業構想から事業化までの11の壁
- 新規事業成功のキーマンは「①経営層と②社外の新規事業担当者」の2人
- 経営層が関わると約3倍の高業績へ
もくじ
事業構想から事業化までの11の壁
- 「既存事業部門」ジレンマ
- ①既存事業部門とのミスコミュニケーション
- ②既存事業部門からの批判
アイデア、アイデア検証段階では新規事業に割ける工数は100%にならないことが多い。
また、新規事業に抜擢される人材は主力事業部門&業務経験長であるメンバーである場合、引き継ぎに時間を要することが想像できる。
さらに、事業が上手く立ち上がっても数年以内は事業規模は既存事業よりも売上規模は1-3桁小さい。事業規模の小ささから既存事業部門より批判がくることもあるかもしれないが、0→1と10→100のステージは違うと認識して既存事業部メンバーとの飲み会ではなくユーザーに向き合うことが正である。
- 「経営層・上司」ジレンマ
- ③経営陣の反対
- ④上司による場当たり的なマネジメント
- ⑤上司による必勝前提マネジメント
大企業の経営陣や上司は0→1の新規事業立ち上げを行っていないことが多い。
既存でプロダクトやサービスが存在し、ユーザーがサービスを利用している状態で10→100に売上を増やすステージでは、上司の経験からのアドバイスが有効なことがある。
100人のユーザーに会い、ユーザーの声を集めた結果を上司や経営陣に報告して、自分で提示する次のアクション候補についてアドバイスをもらう(報告)程度に留めておくといいと思っています。
新規事業の答えは上司や経営陣にあるのではなく、ユーザーにあるからです。
- 「部下」ジレンマ
- ⑥戦力人材を確保できない状況下でのマネジメント
- ⑦後手に回る部下の育成
- ⑧モチベーションの低い部下のマネジメント
事業化の段階で人が必要になり社内からアサインされた部下とのジレンマが発生します。
新規事業ではドキュメントやTodoリストが用意されていないことが一般なので、チームとしての方向性を認識して自らやるべきことを見つける必要が生まれます。
新規事業立ち上げのTodoリストは外部の新規事業立ち上げコンサル会社(予算があれば)が用意していたりするので、外部コンサルをつけてTodoを部下に実行してもらうのも手です。実行を部下が行い、成果の良し悪しのジャッジにも外部コンサルに立ち会ってもらい改善施策の立案まで進めてもらうとスムーズに動くことがあります。
- 「自己」ジレンマ
- ⑨新規事業プランを生み出せないジレンマ
- ⑩過去の成功体験に基づく思考体系の適用と失敗
- ⑪新規事業部門の解散または解散の危機
既存事業10→100で行っていた準備8割/実行1割/改善1割と、
新規事業0→1で行う準備1割/実行8割/改善1割では思考方法と行動が大きく変わる。
また、何を実行していいかわからない。ユーザーに会っても何が聞くべき意見で聞かない意見なのか判断に迷います。
この後に出てくる2人のキーマンが必要になる理由は、11個のジレンマの壁を薄くしたり低くする効果があります。
新規事業成功のキーマンは「①経営層と②社外の新規事業担当者」の2人
経験したことない人からの意見やアドバイスは常に空想の世界の話です。
新規事業も2人の経験者(新規事業経験のある「経営層」と「社外の担当者」)の確保から始めることで業績に影響を与えると言えそうです。
2人のキーマンがいることで
- アイデアの解像度の上げ方
- やるべきことのアクションリスト
- 上程資料の作成
- ユーザーヒアリング時の聞くべき意見と聞かない意見
などを迷わずに最短経路を提示してくれるはずです。
経営層が関わると約3倍の高業績へ
予算の決裁を行う経営層がチームにいて、一緒に新規事業立ち上げを伴走してくれることほど心強いことはないかもしれません。
社員に任せて新規事業だけをやっていても十分ではないという議論が生まれました。経営陣がもっとコミットして率先垂範すべきだという議論になり、「あした会議」の誕生につながりました。
「あした会議」があるから、サイバーエージェントでは新規事業が続々生まれる
サイバーエージェントでも新規事業は経営陣がコミットし、経営陣の評価に新規事業の項目が入ることで経営陣も本気で参加すると聞いたことがある。
まとめ
- 事業構想から事業化までの11の壁
- 新規事業成功のキーマンは「①経営層と②社外の新規事業担当者」の2人
- 経営層が関わると約3倍の高業績へ
新規事業の11の壁をなくすために、①ユーザーに向き合い、②キーマンと立ち上げ、③役員の評価に新規事業の項目追加、をすることで大企業の新規事業の成功角度が高くなるはずです。
ぜひ参考に書籍も呼んでみてください!とても示唆がもらえる良書でした。