資本政策で約立つソフトウェアと事例を紹介します。
資本政策とは、株式によって集める資本と、資本の提供者である株主の構成を計画・検討することを言います。
ノウハウズ
- 株式を用いて事業に必要な資金を調達する
- 創業メンバーのシェア維持とキャピタルゲイン確保
- 従業員・役員へのインセンティブ付与
「資本政策は後戻りができないから慎重にやらないといけない」とよく言われます。
しかし、会社を作ったり、会社の資本政策に関わらない限り馴染みの少ない話です。
そんな時は、具体的に資本政策の具体例を見たり、自分で触ってみることが学びになると思うので、公開されているテンプレートと共に事例を紹介します。
もくじ
1.株式を用いて事業に必要な資金を調達する
会社を設立しアイデア段階から事業の成長(グロース)までに必要になる資金や会社の企業価値は以下のような推移をたどります。
その時々で必要な資金を下記のような方法で調達します。
- 自己資金
- エクイティファイナンス:株式で調達
- ベンチャーキャピタル
- 個人投資家(エンジェル投資家) など
- デッドファイナンス:融資
- 銀行からの融資
- 日本政策金融公庫の融資 など
2.創業メンバーのシェア維持とキャピタルゲイン確保
資本政策のソフトウェアを提供するsmartroundより上場企業の参考となる資本政策が閲覧できるので、下記参考までに共有します。
■上場時の創業者のシェア率
- BASE:16.9%
- Sun Asterisk:57.9%
- グッドパッチ:45.7%
- マネーフォワード:18.2%
- ビザスク:48.0%
■取締役+役員シェア
- BASE:2.3%
- Sun Asterisk:14.2%
- グッドパッチ:0.5%
- マネーフォワード:20.7%
- ビザスク:5.3%
■内部株主(創業者+取締役+スタッフ)シェア率
- BASE:22.0%
- Sun Asterisk:80.0%
- グッドパッチ:56.8%
- マネーフォワード:44.3%
- ビザスク:59.4%
合計調達額を集めきった時点における創業者持分が3割以上になることを目指すのが一つの目安になる。
スタートアップ資本政策の6箇条
と言われるが、理由は33 %以上を持つと特別決議を単独で否決する権限が得られるためである。
3.従業員・役員へのインセンティブ付与
■従業員へのインセンティブ付与率
- BASE:2.9%
- Sun Asterisk:7.9%
- グッドパッチ:8.5%
- マネーフォワード:5.5%
- ビザスク:6.1%
上記は、従業員へのストックオプション(SO)付与割合です。資本政策のソフトウェアを提供するsmartroundより数値を抜粋しています。
とあるベンチャーに誘われたとき、上場まで固定給は期待しないでほしいと言われ、話にならんと思って即断ったよ。その後会社は上場したけど代わりに行った人間のSOはたったの3%。一生懸命働く仲間を搾取する図太さのある人間がスタートアップ経営に適した人間だと思うよ。
— 浜ちゃん (@hamachanyanen) April 24, 2021
労働者で行くのはマジアホ。 pic.twitter.com/ukA4V4NDOU
上記のような見解はありますが、一般的にSOの付与率は従業員全体で10%以下です。大事なので覚えておきましょう!
ランウェイから資金調達時期を予測する
上場企業の資本政策の事例を複数みたところで、smartroundを使ってみます。
例えば、1株300円、100,000株発行し、設立後の企業価値(Post Money: ポストマネー)30,000,000円の会社について、どのような時に資金調達が必要かPL数値計画から逆算してみてみます。
会社の事業計画数値は独立系VCのCoral Capital(旧500 Startups Japan)が公開しているSaaS指標テンプレートを活用してみてみます。
PLの数値計画に約立つ外部テンプレート2021年1月に月初3,000万円あったお金は、2021年9月にマイナス118万円になることが予測されます。
ランウェイは12ヶ月をきったら資金集めを進めたほうがいいので、”すぐに資金調達をする”という意思決定ができます。
PMFの達成中であれば、プレシリーズAで企業価値(Pre Money: プレマネー)2.5億円で5千万円調達し、企業価値が3億円になったとします。
この年の年間売上が2,500万円であった場合、売上高マルチプルはx12(30,000万円/2,500万円)となります。
さいごに
- 株式を用いて事業に必要な資金を調達する
- 創業メンバーのシェア維持とキャピタルゲイン確保
- 従業員・役員へのインセンティブ付与
エクセルで行われていた資本政策はソフトウェアで利用できるようになりました。
上場企業の資本政策事例も公開されているので、smartroundを活用してシミュレーションをしてみると理解が深まると思います。